DAOKO × 米津玄師『打上花火』の少し違った捉え方をしてみた。歌い方の意味に注目!

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DAOKO × 米津玄師『打上花火』を初めて聞いた時思ったことは、「いい歌だけどなんか違う」という事でした。歌はすごくいい、花火が咲いている感じがすごく出ててその描写がすごく綺麗。そこにDAOKOさんの純粋そうな歌声が響き、少し寂しさを感じさせる歌声は過ぎ去った夏に思いを馳せる感じが出ていました。

そんな中で、引っかかったのが米津さんの「歌い方」です。PC音源だとわかりにくいのですが、ヘッドフォンで聞くと声の出し方に微妙な違和感がありました。普通に歌えば綺麗に響くのに、口を大きく開けたまま変な声を出している感じです。その違和感を感じながら何度も聞いていると歌詞がようやく頭に入ってきました。

ここで記載する歌詞の意味は正解じゃないかもしれません。こういう見方する人もいるんだと思ってもらえればと思います。少し自信がない理由は、米津さんは少年ジャンプ型の歌が好きだと過去に言ってたらしいからです。ここで書くこの歌のメッセージは少年ジャンプ型ではありません。

歌詞もそうですが、歌い方にも意味が込められているため、ある種の深さを感じさせる歌だと思っています。だからこそメチャクチャいい歌だと思ってます。

歌い方の違和感があるパート

はじめの違和感があったのは、米津さんがはじめに歌うパートのはじめの文章の最後。「何ができるだろうかぁ〜」というところ。このかぁがすごく違和感がある歌い方だと思いました。歌い方に純粋さがないという感じ。なぜここだけカッコつけたの?カッコつけるの好きな人なの?と疑問を感じていました。

ただ、よくよく歌詞を見てみると、この歌い方はメッセージなのだと気づきます。

夏の恋の物語(過去の思い出)

歌の内容をみると、女性が彼氏と夏に一緒に見た花火を思い出して、渚で佇んでいる姿が浮かびます。その姿は悲しげで、少し前に終わった恋を引きずっている感じがします。

1番のAメロは夏の自分の思い。Bメロは今の自分が置かれている状況。

夏に自分が相手のことを思い、相手についていきたいという強い思いを砂の上に書いていた。今いる砂浜では、その書いた言葉を波が消し去っていく。あの夏は日が暮れると花火が上がったけれど、今は花火がないまま、ただ時間が過ぎ日が暮れていく。

女性から見た花火は永遠を望む花火

夏は恋をしている期間を表し、花火は感情の高ぶりを表しています。その先もかな?

この恋はきっと終わらない、終わらせたくないという思いが、相手と自分との心のすれ違いを自分のいい方に解釈させて、男の人と一緒になることを選んだ。この感情の高ぶった「夜」がずっと続けばいいのにという願いが続けばよかった。

過ぎ去ってしまった恋への寂しさを今想っている。夜=花火=感情が高ぶった状態=XXX。

曖昧な心。これも一つのキーワード。

男の人が見る女性は一夏の思い出

二番のAメロは女性の純粋な気持ちにどう答えようかと思案している姿が見えます。これからも一緒にいたいと願う言葉を発しているのは女性側。初めて恋をする女性。それを一夏の思い出でとして考えている男性の姿。

最終列車が通過する時間帯、帰れなくなった男女が一緒に夜を過ごす。花火が上がるように感情を高ぶらせ、波のようにお互いが行き交う。傷つくことから始まるそれは、次第に喜びに変わる。その波を選んで男性はもう一度と女性の名前を呼ぶ。

この男の人には情動の先には焦燥感があるよう。

もう二度と相手が悲しまなくて済むようにすることは、恐らく別れの言葉。

※間接的な表現しかしませんので、想像してお楽しみください。

一瞬の花火(相手への思い)が心に残る時間の違い

お互いの言葉の掛け合いの時間軸が少し異なる感じがします。

離さないでと願う少女と、離れないでと相手に任せる男性。お互いに「もう少しかけ」と掛け合いをしていますが、少女がいう「もう少し」は、言葉とは裏腹の永遠という願いがあります。一方で男性のもう少しは、今この時をもう少しだけと言う意味に聞こます。

女性が心を許したのはこの恋がずっと続くと思ったから

「曖昧な心」と言うのがなんなのか?推察するに、相手が自分を好きかどうかわからないことや、相手が自分にとっていい人かどうかわからないと言う不安を意味するように思いました。その曖昧さを払拭したのが、きっとこの恋は終わらないと言う自分の願いだったのかなと。

歌い方で感情を表すことでメッセージが変わる

こんなことできるんだなって思ったのがはじめでも書いたところ。「何ができるだろうかぁ〜」という歌い方。

そこで感じたのは純粋さや誠実さと言った清涼感はなかったこと。ある種のとんがったイメージ。狼的や小悪魔的、自分の楽しみやカッコつけるためだけのもの、と言ったようにあまりいイメージができない感情がそこにあるように思えた。

何度も聞いているうちに、そのイメージがこの歌から連想させる男性のイメージに直結した。

純粋、純白な少女と狼男の夏の思い出

この歌のイメージがそんな感じ。DAOKOの声がすごく純粋で恋に焦がれた少女を連想させる。それを狙う男を表現する米津さんの歌は素晴らしいと思いました。

男の人も少し感情が動いている?

2番目のサビの部分。当初は大きくない彼女への思いも、一緒になることで少しだけど胸の中に芽生え始めている。ここで手を伸ばせば、言葉を交わせば、二人は一緒になることができたかもしれない。

彼女と同じ時を過ごすことで、男の人の感情にある種の共感や愛情が生まれた。だからこそ男の人は「離れないで」と言っているんだなってわかる。

自分が離れたくなければ「離さない」という強い意志が感じられる言葉を言うはず。だから、強く自分の意思に自信が持てていない。たけど、彼女は離れて欲しくはない。そういったはじめになかった感情が男の人に芽生えている。

そう、彼女が離れないといえば、自分は彼女と一緒に居られるという他力本願ではあれど、少しは彼女のことを思う気持ちがそこに出ている。

徐々に人を好きになることだってある。そんな感情が歌に込められているのかなって思いました。

作り手目線で見たときに優しさが感じられる歌

男は狼のようなもの。その時の欲求だけで行動を起こし、純粋な人を傷つけてしまうこともある。そんな人に単純に気を許してしまうと悲しい思い出になるから気をつけないとね。

でも男の人も人間。後からある種の愛情が芽生えることだってある。そんな時に人と人を繋ぎとめるものは、お互いに自分の意思で手を伸ばすという行動のはず。

多くの人がその行動を起こさぬままだったら、幸せをつかめないんじゃないかな。

といった思いをこの歌に込めたのだとしたら、すごいなって思いました。

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